万博設計代表
演出家・劇作家・宣伝美術家。
近畿大学文芸学部芸術学科演劇芸能専攻卒業。
近畿大学在学中に「尼崎ロマンポルノ」旗揚げ。全作品の作・演出を担当。
ウイングフィールド、KAVC、こまばアゴラ劇場、精華小劇場等主催の演劇祭に参加。
2012年、演劇企画団体「万博設計」を立ち上げ。
「幽霊’」がPrism Partner’s Produce 平成26年度採択。第22回OMS戯曲賞最終選考ノミネート。
ウイングフィールドの企画主任として「ウイングカップ」「旅劇」「ディレクターズワークショップ」等の企画立案、運営を行う。
佐藤佐吉演劇賞宣伝美術優秀賞受賞。
「蒼い刻」は3部作となっており、今作の「mistySwan」はその2作品目となる。
手渡された戯曲を一読した感想は、自分が今まで演出してきたどの作品よりも突き抜けて「素直」な作品であるという印象だった。
今回劇作を担当されているnemuさんは画家としてご活躍されている方なのだが、
戯曲もその絵と同じく、作家が思い描いた、果てしなく広がる架空の世界を、素直に物語というキャンバスに落とし込んでいる。
自分も「書く」身として、ここまで素直に「書く」という行為が出来ているだろうか?と問い直したりもしている。
nemuさんとは相反して屈折した人間観を持つ身として、この作品を素直に受け取れない部分と、素直に受け取ってみようという部分が相対している。
しかし、相対する思いが生まれる時にこそ、新しい、次代に残るべき作品が生まれる機会であると信じたい。
互いの違いを認めつつ衝突し、その先にある新しい合流地点を見出す術を知る事が出来る事こそ、演劇の、人間の面白さだと思うからだ。
「mistySwan」に描かれた世界の登場人物達がそこに向き合っているのだから、尚更。
私は1作品目を拝見出来ておらず(演出を受けると決まってから映像と戯曲で拝見しました)3作品目となる作品の概要も知らされていない。
故に、私にとっては手渡された「mistySwan」という一部分、稽古場にいる俳優、スタッフ、そして劇場というキャンパスが在るだけだ。
前作を観た方、そうでない方、そして俳優も、客席に合流する事になる。
その合流地点で、そこにいる誰もが「人間を信じたい」と思える作品になる事を願って、稽古場で新たに生まれる事実を積み重ねる。